書籍・雑誌

藤原文庫の書棚から(3)

引続き藤原文庫の一角をご紹介します。

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バブル経済の拡大とその崩壊で日本経済の姿は一変しました。それと共に経済評論家の顔ぶれも一変。長谷川慶太郎や加藤寛の名前は今ではほとんど聞かれません。中途半端な認識や判断では生きていかれない、文字どおり生き死にをかけた時代が今の日本にもやってきています。

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写真右側にある事典、最近はほとんど見かけなくなりました。みんなインターネットに取って代わられてしまったという感じです。また、資本主義、社会主義、民主主義といったイデオロギーを議論することもめっきり少なくなり、人々の思考と行動はどんどん短絡的になっていったようです。

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トヨタのかんばん方式が国内外で本格的に研究され、また普及したのは90年代に入ってからでした。しかしそれは簡単に真似ができるものではありません。またM&A(企業の買収合併)が当たり前のように行われるようになったのもこの時代です。M&Aは善であると唱える本が出てくるのも興味深いところです。

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藤原文庫の書棚から(2)

引続き藤原文庫の書棚を紹介します。

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量子物理学という言葉は使われませんが、波動という言葉は90年代に経営者に一気に広がりました。形のないエネルギーの世界を第一線の経営者が感じ始めるのもこの頃からです。書棚をみると破綻したダイエーの中内功さんについて書いた本があります。こういう本を読むと、要するにどんな理論や哲学も、合う時代と合わない時代があるということがわかります。したがって合わないときには破綻しないように静かにやっていれば良いのです。それを無理して時代を自分に合わせようとするから、破綻するのです。

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流通の専門家である船井幸雄さんの本や流通関係の本が並びます。80年代、90年代は流通業に巨大変化が起きたときでした。この激しい時代を潜り抜けて日本の流通業はどのように成熟したのでしょうか。また、エクセレント経営という題が見えます。エクセレントとはすばらしいという意味ですが、エクセレント企業と人々から呼ばれた会社を、当時の日本人は決してすばらしい会社とは呼びませんでした。実際にそれから10年経って、当時のエクセレント企業の多くは変質してしまいました。

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浅井隆氏の破綻本がたくさん売れたのも90年代です。これを読んだ人たちは自らの破綻をいかに上手に回避できたのでしょうか。また、松下政経塾の本が並んでいます。今の世界には同塾出身者がたくさんいます。しかしその評価は未だ定まっていません。何をどう教えていたのか、とても興味深いところではあります。

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藤原文庫の本棚から

引続き、藤原文庫の本棚の一角を紹介します。

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世紀末の不安感を率直に示す本が並びます。恐怖であり当惑であり逃避であり。でもそうした後ろ向きの気持ちを乗り越えて、問題を積極的に解決しようとする人たちも出てきたのが90年代の末期です。侘美光彦先生の本がありますが、この先生は80年前の世界大恐慌の研究の第一人者です。それから、「国民」という概念が大きく変質している昨今、国民について研究した本もあります。

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80年代から90年代の中堅企業の管理職、経営者がよく読んだ本が並びます。この時代は力んで頑張ると量が伸びた時代でした。ですから目に見えて成果が出てきて、その意味では経営に激しいエネルギーが感じられた時代でした。一方、格差に関する本もあります。人材格差、今ではすっかり日本に定着してしまったようです。また海外で仕事をする人が増えたのもこの時代です。

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80年代から90年代の経営書には転換期とか新しいトレンドとかパラダイムという言葉がよく出てきます。巨大なバブル経済をはさんで、経営者が発想を根本的に変えないと生き残れないという危機感が広がった時代でした。実際に古くから続く企業や昔から安定した業界が次々と吹き飛んだりする様子を目の当たりにして、当惑する経営者もたくさんいました。

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藤原学校木沢分校「藤原文庫」蔵書のご紹介(8)

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金融工学やモーゲージ証券の本が並びます。同時にインターネット社会が到来して、経営や教育の方法も大きく変化していきました。そういうことに関する本も並んでいます。仮想オフィスというような言葉も生まれました。さらにリーダーシップのあり方も大きくとらえなおされました。ところで真ん中あたりにある背の低い緑色の英語の本は、筆者の大学時代のゼミの教科書です。

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Investmentという本は財務投資の基本的な教科書です。また黒い分厚い本で、赤いシールのマークが入っているのは、英国中央銀行よりも歴史が古い、英国クーツ銀行の歴史を語った本です。今でも女王陛下のお手元金を取り扱っている銀行です。また、航空関係の本も見えます。天気に応じた飛行の方法、あるいは飛行中の非常事態(Mayday)に関する本があります。

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90年代の金融テクノロジー、財務戦略の世界的な爆発的拡大を背景に書かれた本の数々です。さらに仮想現実の広がりが我々の仕事や生活をどう変えるかについて語った本も目立ちます。この時代の欧米は、新しい時代への積極的な思いと、足元の不安が交錯していた時代でした。

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藤原学校木沢分校「藤原文庫」蔵書のご紹介(7)

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90年代の経営者論も面白いものです。それまでの時代を知っている人と90年代しか知らない人で、社長のイメージがだいぶ違うようです。またマネーがどんどん仮想現実と化し、欧州が一体となって通貨ユーロを発行するなど、お金が国民国家から本格的に遊離していったのも90年代の特徴でした。

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90年代は波動という言葉が大きく普及した時代でした。量子力学では波と粒子の境目はあいまいです。波動という言葉の流行は、経営に量子力学のパラダイムが入ってくる直接のきっかけだったようです。あるいは破綻したダイエーの元代表の本もあります。改めてじっくり過去を振り返り、何がどう違っていたのかを考えてみるのも大切なことだと思います。

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英語の本が並んでいます。かつて確率統計に基づいた金融工学を勉強したときに読んだ本です。2007年に大破綻を起こした米国モーゲージ証券の構造について詳細に語った本があります。当時はこんなことが起きるとは誰も思っていなかったと思います。実際にどこがどう悪くてこんな破綻が起きたのか、具体的に検討しながら読み返すと面白そうです。

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藤原学校木沢分校「藤原文庫」蔵書のご紹介(6)

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(写真をクリックすると新しいウィンドで拡大されます。)
社会主義が大きく衰退したのも90年代。その一方で市場原理主義が世界を覆っていきました。さらにインターネットが登場したのも90年代。そのため百科事典が家庭や企業からさっと消えてしまいました。情報は多くの人たちが共有する時代の到来です。しかしそういう時代が来て人は昔よりものを考えなくなったと思います。知性の衰退です。

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船井幸雄氏の本も90年代を通じて多くの人に読まれました。また春山茂雄氏の『脳内革命』は大ベストセラーになったあと、忽然と世の中から消えてしまいました。宇野正美氏のユダヤ陰謀論にも引き続きファンがたくさんいるようです。次元アップとか本物とかいう言葉もたくさん語られた時代でした。

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90年代に百花繚乱となった経営論の本です。特に収益やシェアに焦点を当てた戦略論が大流行しました。根底の発想として経営は工学であり、人は常に合理的に行動するものとの暗黙の了解があるように感じます。90年代はグローバリゼーションが広がり、とにかくスピード感ある経営が先行し、人の気持ちがすっかり取り残された時代でもありました。

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