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2012年12月25日 (火)

ILS(計器着陸装置)をマニュアルで着陸する

さて、787を飛ばす前に、X-PlaneのデフォルトB747-400で、ILS(計器着陸装置)による精密進入をマニュアル操縦でやってみましょう。

最も一般的な精密進入は地上から発射された電波を受信しながら行うILS進入で、カテゴリーがIからIIIまであります。そのなかで最も一般的なのがカテゴリーIで、滑走路の地上面から200フィートの高さまで電波の誘導で降りてくることができます。

そしてその後は操縦士が目で進入灯や滑走路を見て着陸します。しかし200フィートまで降りてきたところで進入灯や滑走路が見えない時は着陸をやり直します。ゴーアラウンドです。

またILS進入を開始する時点で地上の視程が限度以下だと進入開始の許可が出ません。

自動操縦装置を備えた飛行機ではILS進入を自動操縦で行うことができます。特にカテゴリーIIとIIIは自動操縦装置を使わなければならなくなっていて、他にも細かい規定があります。

X-Planeあるいはマイクロソフトのフライトシミュレーターでは自動操縦による着陸が可能です。カテゴリーIIIの地上滑走も自動操縦で行うモードが再現できます。ただし、空港によっては本来の場所からILSの電波の位置がずれていたりして、滑走路から外れたところに降りてしまうことも珍しくありません。

さて、今日はこのILS進入をマニュアルでやってみましょう。

X-Planeはマイクロソフトのフライトシミュレーターと違って、滑走路の手前3マイル、あるいは10マイルから飛行を開始することができます。さらに、天気も非精密進入、精密進入のILSカテゴリーI、II、IIIのそれぞれ最低の天気に設定することができ、着陸の練習には大変便利です。

ここでは長崎空港RWY32の10マイル手前から飛行を開始して降りてみます。ちょうど横風が7ノット吹いています。そして天気はILSカテゴリーIの最低水準、すなわち地上面から200フィートまでは何にも見えない状況です。

まずデフォルトのB747-400を長崎空港の地上に呼び出します。細かい設定はまず地上で行ったほうが楽です。

S747400_united_3

そして空港名のところをクリックすると右上に現在の風やQNHの値が出てきます。また、ILSの誘導電波(ローカライザー)の周波数が110.9であることがわかります。しかしコースが何度かはわかりません。それは以前のブログで紹介したAISのチャートを見てください。324度です。

S747400_united_1

そこでB747-400に周波数とコースを設定します。周波数は上の写真の左上の無線装置のところをVHF Lにして、110.9と入力します。またコースですが、写真正面に見えるFMSの入力装置のところでNAV/RADのボタンを押してください。すると次の画面が出てきます(これはあくまでもこのソフト固有の使い方です)。

S747400_united_2
画面の一番下に324と入力し、ピンク色の字のところ、左の上から3番目のボタン、3Lを押します。これでILSの周波数とコースが入力されました。

それから改めて機を長崎空港のRWY32の10マイル手前に据え付けます。

ここで画面が出てきたらすぐにポーズにして動きを止めてください。何しろ滑走路まで数分ですから動きながら準備していると着陸に間に合いません。

ポーズにしたらまずメニューのViewを選び、3D Command Lockにチェックを入れてください。これでマウスの左右のボタンを使って操縦室内のいろいろな場所を見ることができます。

それからフライトディレクターのスイッチを入れます。さらにAPPのボタンを押します(実は今回、このボタンを押したらタテの位置のずれを知らせるグライドスロープの針が正しく動きませんでした。LOCを押したら正しく動いたので、とりあえずそれで着陸してみます。一般にはグライドスロープも使った精密進入うのときにはAPPを押し、ローカライザーだけの情報で降りる非精密進入のときはLOCを押します。ローカライザーだけで降りてくる時の着陸決心高度は地上面からの高さがだいたい650フィートです)

そしてポーズを解除します。すると次のような画面になります。

S747400_united_4_2


高度が2000フィートぐらい。しかし速度が250ノットぐらいからのスタートです。スロットルを全閉にし、操縦かんを引いて高度を上げ、高度を上げながら一気に速度を落とします。またギアダウンにしてさらに減速し、フラップを30度までどんどん下げていきます。機体のピッチは2度か3度ぐらいになるように減速状況を見ながらスロットルをN1で50%前後まで上げていきます。これでとにかくできるだけ早く安定した飛行に持ち込むことがカギです。

相当荒っぽい操作ですが、大型旅客機のように高速で小回りのきかない飛行機は一気に着陸態勢に持っていかないと間に合いません。ですからこれが大変だという場合には空港から離陸して安定した状態で10マイル手前まで飛んできて進入を開始するのが良いでしょう。今日はあくまでも進入の練習なので、その入り口のところは荒っぽく一気にやりました。

上の写真は高度が2100フィートぐらい、速度がまだ198ノットあります。もっと減速します。そして次の写真では高度が3000フィートに、速度が163ノットに下がってきました。これぐらいから進入を始めます。

S747400_united_9_2

上の写真を見ると左側の画面(PFD)の真ん中にピンクのハの字が見えます。これがフライトディレクターです。実は飛行機の世界ではこのピンク色を赤紫を意味するマジェンタと呼んでいて、ピンクとは言いません(笑)。よく見るとPFDにはまだほかにマジェンタがあります。まず右上の数字0000、左上の140、そして左のタテ帯の真ん中からちょっと下にある変形した四角、下の半円コンパスの上にある四角、そしてPFDの中央にある青と茶の表示の右と下にある菱形です。

飛行機ではマジェンタは目標とする位置や数字を示す時に使われます。すなわち右上の数字は設定された高度(今回は設定していないのでゼロになっている)、左は速度の数字とその位置(これも今回は特に設定していません)、下の四角は設定された針路、菱形は、これがILSが示すタテとヨコの正しい位置です。

またマジェンタのハの字に重なって見える黒いハの字は飛行機の現在の姿勢を示しています。そこでILSの電波の道の上を飛ぶには、この黒をマジェンタに重なるように操縦すればよいのです。そうすると菱形もまたちょうど下と右の中央に来るようになっています。

上の写真ではマジェンタのハの字が黒のハの字より左に傾いています。ですから操縦かんを左に切って、黒のハの字の傾きをマジェンタのハの傾きに合わせます。以下の写真はそれを合わせたところです。

S747400_united_11

しかしこの機体ではローカライザー、すなわち下の菱形の動きとハの字はよく連動しているのですが、グライドスロープ、すなわち右の菱形の動きとハの字がうまく連動していません。たとえば以下のようにマジェンタのハの字に合わせていたら次第に高度が高くなってしまい、右の菱形が真ん中から下にずれてきました。この右側の菱形は中央から上にあるときは機体が本来の位置より低く、下にある時は本来の位置より高いことを意味しています。

そこで、操縦かんを押しこみ、同時にスロットルをちょっと戻して、傾きを変えないように降下率を上げます。

S747400_united_14

すると高度もだいたい合ってきました。また機の姿勢も上の写真では黒いハの字が茶色の領域にあり、水平より頭が下がっている状態になっていることが分かりますが、下の写真では黒いハの字が若干水色の領域、すなわち頭が若干上がった状態になっていることが分かり、姿勢と速度も安定してきたようです。

S747400_united_15

一般に頭が下がり過ぎている時にはスロットルを絞って速度を下げ、頭が上がり過ぎている時にはスロットルを出して速度を上げます。ピッチの目盛りは大きなメモリが10度、以下、5度、2.5度ごとに小さなメモリがついています。

高度が1500フィート、速度はもう少し下げます。ギアダウン、フラップ30度になっています。後は滑るように滑走路まで降りて行くだけです。右から横風が7ノット吹いていることが右側の画面の左上の風の表示でわかります。横風が吹いていますからこまめに傾きを修整する必要があります。

800フィートまで降りてきました。外は何も見えません。

S747400_united_17

450フィート。安定しています。

S747400_united_18

そして200フィート。ここで画面を動かして地上を見ます。滑走路が見えていたら着陸します。

S747400_united_20

滑走路が見えました。着陸します。横風のためにちょっと機体が傾いています。実は計器から地上に視線を移してからの操作がなかなか難しいのです。この例でも思わず降下率が下がってしまいましたが、いきなり地面が見えると反射神経でどうしても操縦かんを引いてしまいます。そのため着地位置が前に伸びてしまいました。あるいは夜間に進入灯だけが見えている場合、滑走路の末端と一瞬錯覚してしまいそうになることがあります。やはり、ぎりぎりの気象条件での着陸は大変です。

S747400_united_21

かくて、無事着陸しました。

S747400_united_22

ILSのマニュアルによる進入ではこのようにフライトディレクターを見ながら操縦します。一度に大きく操作せずにこまめに操作します。またフライトディレクターの形はこの例のようなハの字のもののほかに、十字のものがあります。十字のものは十字の交点に機体を示す丸印を合わせるように操縦します。

それから実際にはフライトディレクターの動きは連続ですが、フライトシミュレーターでは画面表示が重いとこれがとびとびの動きになってしまいます。そうすると操縦がとても大変です。ですからILSのマニュアル進入では滑らかに連続にフライトディレクターが動くかまず確かめてみてください。


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